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旅行

益田・グラントワ日帰りモデルコース|石州瓦28万枚の屋根と壁

公開: 2026-10-24 | #益田 #グラントワ #日帰り #観光 #中国

益田市は島根県の西の端、高津川と益田川が日本海に出る平野にあります。 面積は733.19km²で、島根県6,707.81km²の約1割を占めます。美都・匹見の山側は9割近くが山林です。

行き方は空路が最短です。羽田から萩・石見空港まで約90分、空港から益田駅までバスで約10分。 東京(羽田)線の2往復は、令和11(2029)年3月24日までの継続が決まっています。 鉄道なら新山口駅から山口線の特急で約1時間40分、松江駅からは山陰本線で約2時間です。

同じ島根県西部の石見銀山とは、見るものの出どころが違います。 銀山は地中から掘り出したものが町を作りました。益田は、川が山から運んできたもので町ができています。

南の中国山地から北の日本海へ81kmを下る高津川が、この町の見どころをひと筋に並べています。 川が匹見の材木を河口の港へ運んで中世の交易の富を生み、その富が雪舟を招いて萬福寺と医光寺に庭を残しました。 そして同じ石見の粘土を来待石の釉薬で焼いた石州瓦28万枚が、いま益田平野のグラントワの屋根と壁を覆っています。

ルートマップ|このコースの動き方※位置・距離は概略のイメージです
日本海高津川匹見川JR山陰本線(東萩・浜田)JR山口線(津和野・新山口)益田駅09:40 START2高津川の河口10:103萬福寺11:004医光寺12:105雪舟の郷記念館13:40グラントワ15:00 GOAL日帰りのルートJR山陰本線(東萩・浜田)N

行く前に決まってしまうこと

  • 島根県立石見美術館の展示室は火曜に休みが入ります(祝日なら開館し、翌平日が休み)。年末年始も休みます。 一方でセンター全体(中庭・回廊・いわみ芸術劇場)の休みは第2・第4火曜です。 火曜に行くと、建物には入れるのに展示が見られないことが起きます
  • 中庭の水盤が建物を映す「水の鏡」になるのは、風のない日だけです。風があると水面が乱れます。 さらに中庭で催しがあるときは水盤の水が抜かれて広場になるので、水面そのものがありません
  • 壁の瓦の色は天気と時刻で変わります。設計者の記述では、赤茶の素材色がそのまま見えるときもあり、 光の角度によっては金色に輝き、青空が広がれば薄いブルー、夕暮れ時にはわずかに緑色になります
  • 雪舟の郷記念館は火曜・水曜(祝日を除く)と、祝日の翌日、年末年始、展示替え期間が休みです。 雪舟筆の重要文化財を見るなら、この曜日を外してください
  • 匹見の渓谷はこの1日に入りません。JR益田駅から匹見峡温泉まで車で約47分、 国道9号の匹見口から入っても54.9kmで、約1時間8分です
  • 川と海のものは旬が月で区切られます。高津川の鮎は6月1日から10月10日、鴨島はまぐりは4月中旬から10月中旬、 もくずがには8月1日から10月1日、さざえ・あわびは12月から4月と7月から9月です
  • 市内の移動は車が前提になります。石見交通の匹見線・梅月線・種線は2025年3月15日限り、 都茂線は2025年9月30日限りで廃止されました
  • 2026年1月9日から、益田管内の二条線・蟠竜湖線・横田線・久城線・土田線が臨時ダイヤで、一部の便が運休しています

1日の流れ

  1. 09:40

    益田駅に着く移動

    羽田から萩・石見空港まで約90分、空港から益田駅までバスで約10分です。鉄道なら新山口駅から山口線の特急で約1時間40分。

  2. 10:10

    高津川の河口に立つ移動

    流程81kmで流域にダムがない一級河川です。平成18・19年に2年連続で水質日本一になりました。

  3. 11:00

    萬福寺の庭を見る移動

    伝雪舟作の庭で、昭和3(1928)年3月28日の国の史跡及び名勝です。本堂は応安7(1374)年建の重要文化財。

  4. 12:10

    医光寺の庭へ回る移動

    雪舟が五代住職を務めた崇観寺の後身です。庭の指定日は萬福寺庭園と同じ日です。

  5. 13:40

    雪舟の郷記念館に入る移動

    雪舟筆の重要文化財「紙本著色益田兼堯像」1幅があります。雪舟廟・大喜庵に隣接します。

  6. 15:00

    グラントワの中庭に立つ移動

    中庭は45m四方、水盤は1辺25mで中央の最深が12cm。風のない日は水面が建物を映します。

  7. 16:00

    石見美術館の展示室を見る

    収蔵の重点はファッション・石見の美術・森鷗外ゆかりの美術家の3領域です。重文「絹本著色益田元祥像」もここにあります。

  8. 17:30

    益田駅から帰る移動

    空港までバスで約10分です。展示室は火曜に休みが入るので、曜日を先に確かめてください。

  9. 時刻は目安です。列車やバスのダイヤは改正で変わるため、出発前に各社の時刻表でお確かめください。

81kmを下る川に、ダムが1つもない

数字から入ります。

高津川は西中国山地に発して益田市を流れ、日本海に注ぐ一級河川です。流程81kmです。 水源は吉賀町田野原の「大蛇が池」です。

この川には、流域にダムがありません。 国土交通省の水質調査では、平成18・19(2006・2007)年に2年連続で水質日本一になっています。

止まらない川が、2つのものを育てています。

鮎は天然遡上で、清流の石のコケを食べて育ちます。漁は6月1日から10月10日です。 河口では高津川と日本海が交わる限られた海域に鴨島はまぐりが生息します。 森から川を通じて運ばれるミネラル分を含む汽水で育つため、9cm前後の大型になります。

河口に立つと、中世の地形が読めます。 高津川・益田川の河口域は砂州の発達で潟湖状になり、日本海の荒波と強風を避けられる港町になりました。 中須東原遺跡の出土陶磁器は、朝鮮半島・中国・東南アジアとの交易を示します。遺跡は平成26(2014)年3月18日の国史跡です。

水が止まらないことが、鮎と港の両方を作りました。

中世の富は、匹見の木が川を下って生まれた

港にはもう一方の端があります。山です。

益田市の面積733.19km²のうち、美都・匹見地域は9割近くが山林です。 島根県最高峰の恐羅漢山は標高1,346mで、広島県との県境に立ちます。

匹見の良質な材木は、川下しされて河口から積み出されました。 山で木を伐れば、川が勝手に港まで運んでくれる。この一本の流れが中世益田の富になりました。

富の大きさは、残っている土の形に出ています。

益田氏の館である三宅御土居跡は、東西に高さ5mの土塁を持ちます。 山城の七尾城跡は、Y字形の尾根を使って一つの山をまるまる要塞化したものです。 どちらも同規模の領主と比べてはるかに大きく、平成16(2004)年9月30日に益田氏城館跡として国史跡に指定されました。

山の木と河口の港が1本の川でつながっていたので、地方の領主にしては館と城が大きくなりました。

日本遺産のストーリー「中世日本の傑作 益田を味わう -地方の時代に輝き再び-」は、島根県益田市だけで成り立つストーリーです。 ストーリー番号は#100、構成文化財は26件です。 その中に「匹見の山林」「高津川と匹見川」「鮎とうるか」という自然と食が入っています。

雪舟の庭が2つ、同じ日に指定された

富の使われ方が、庭になって残っています。

雪舟は益田七尾城主・益田兼堯の招きで、崇観寺(宗観寺、後身が医光寺)の五代住職となりました。 寛正2(1461)年に大内氏の招きで山口へ移り、永正3(1506)年に87歳で没したと伝わります。 中国寧波の天童寺から「天童山第一座」の栄誉を受けた人です。

その雪舟が、萬福寺と医光寺の両寺に庭を築き、「益田兼堯像」を描きました。

萬福寺庭園(東町)と医光寺庭園(染羽町)は、どちらも伝雪舟作として、 昭和3(1928)年3月28日に国の「史跡及び名勝」に指定されています。同じ日です。

萬福寺では本堂も国の重要文化財です。明治37(1904)年2月18日の指定で、1棟と附棟札7枚。 棟札から応安7(1374)年の建立とわかっており、益田市内で最古級の建造物になります。

雪舟は通りがかりの客人ではなく、住職として益田にいました。だから庭が2つ残りました。

記念館に、雪舟筆の重要文化財がある

雪舟は晩年を東光寺(現・大喜庵)で過ごしました。

その大喜庵と雪舟廟に隣接して、益田市立雪舟の郷記念館があります。平成2(1990)年10月の開館です。 駐車場は大型バス10台・乗用車50台あります。

ここに雪舟筆の重要文化財「紙本著色益田兼堯像」1幅があります。昭和25(1950)年8月29日の指定です。

描いた人が最後にいた場所に、描かれた本人の肖像が残っています。

市全体の文化財は数で押さえられます。 益田市の集計では、令和8(2026)年2月17日現在で指定・登録文化財が合計153件です。 国指定12・国登録10・県指定25・市指定106で、ほかに国認定重要美術品が1件あります。

石州瓦28万枚。壁に瓦を使ったのは全国で初めて

平野の真ん中に、赤茶の建物があります。

グラントワ(島根県芸術文化センター)は、石州瓦を屋根と壁の両方に使っています。 屋根に12万枚、壁に16万枚、合わせて28万枚です。

壁に瓦を使うのは全国でも初めてでした。 巨大な壁面が均質になりすぎないよう、釉薬を6種類使い分けています。

なぜ壁に使えたのかは、瓦の作り方で説明がつきます。

石州瓦は島根県石見地方で生産される粘土瓦です。 来待石を混ぜた釉薬を1200℃以上で高温焼成すると、表面がガラス質のコーティングになり、高い耐久性が出ます。 三州瓦・淡路瓦と並ぶ日本三大瓦の一つです。

1200℃以上で焼いて硬くしてあるから、瓦が屋根から降りて壁になれました。

評価も、この一点に集まっています。 International Architecture Awards 2006、第48回BCS賞(2007年7月20日)、第14回しまね景観賞大賞、 第14回甍賞金賞(経済産業大臣賞。全国応募89件中16件入賞のうち、金賞2件の1つ)、UD賞2008、 第12回公共建築賞・特別賞、平成24年度地域創造大賞(総務大臣賞)。

石州瓦を外壁に用いて地域の固有性を出した点が、繰り返し評価されています。

中庭は45m四方、水盤の最深が12cm

建物の中心は、屋根のない場所です。

中庭は回廊に囲まれ、中央に正方形の水盤があります。 中庭は45m四方、水盤は1辺25mです。すり鉢状で、湧き出た水が四方に流れ、地下タンクへ循環しています。

水の深さは、中央で最も深いところが12cmです。

1辺25mの水を12cmだけ張ると、池ではなく鏡になります。 風のない日に、建物と空がそのまま水面に乗ります。

水盤のそばに、御影石のモニュメント「おろち」があります。 石見神楽の大蛇をテーマに澄川喜一が制作したものです。

建物の数字も押さえておきます。 設計は内藤廣建築設計事務所です。平成13(2001)年3月に設計競技で最優秀が決まり、 平成14(2002)年11月着工、平成17(2005)年10月8日に開館しました。2025年10月で開館20周年です。

総鉄筋コンクリート造り(一部PC・S造)の地上2階地下1階。敷地面積36,564.16㎡、建築面積13,887.00㎡、 延床面積19,199.6㎡、最高高さ32.240m。コンクリート32,500m³、鉄筋4,400t、型枠面積132,000㎡が使われています。

いわみ芸術劇場の大ホールは1,500人収容(1階993席+車イス4席+2階503席)で、島根県内最大面積の舞台を持ちます。 客席は舞台に向かって緩やかな円弧状に配置されています。小ホールは400人収容、展示室は大小4室です。

愛称「グラントワ」はフランス語で「大きい屋根」を意味します。全国公募16,456点から選ばれました。 シンボルマークは矢萩喜從郎のデザインで、オレンジ色が石州瓦の色を表しています。

展示室にオートクチュールが並ぶ

島根県立石見美術館は、収蔵の重点領域を3つに絞っています。

森鷗外ゆかりの美術家の作品、石見の美術、そしてファッションです。 収蔵作家にイヴ・サンローラン、マドレーヌ・ヴィオネ、ガブリエル・シャネル、森英恵が入ります。

ファッションが重点になっているのは、人の出身地が理由です。

森英恵は島根県鹿足郡六日市町(現・吉賀町)生まれで、1926年から2022年の人です。 1965年にニューヨークで初の海外コレクションを開き、1977年に東洋人として初めてパリ・オートクチュール組合の正会員になりました。

中庭の「おろち」を作った澄川喜一も、吉賀町生まれです。1931年から2023年、92歳で没しました。 東京スカイツリーのデザイン監修者で、2005年の開館時から17年間センター長を務めました。 2020年に文化勲章、野外彫刻は約100点、島根県へ彫刻175点を寄贈しています。

高津川の水源がある吉賀町から、パリの組合に入った人と、スカイツリーを監修した人が出ています。

展示室にはもう1件、中世の益田が残っています。 重要文化財「絹本著色益田元祥像」(狩野松栄筆)1幅です。平成1(1989)年6月12日の指定で、所在地は有明町、つまりこの美術館です。

益田市内にある国指定重要文化財のひとつが、この建物の中にあります。

車と、休みの日を先に決める

実務の注意です。

  • 空路が最短です。大阪(伊丹)線は季節運航なので、通年2往復あるのは東京(羽田)線だけです
  • 鉄道は新山口駅から山口線の特急で約1時間40分、津和野駅から特急約30分(普通約40分)、 東萩駅から山陰本線の普通で約1時間20分、松江駅から山陰本線で約2時間です
  • 東京からは車で約12時間(875〜902km)、JRで約8時間、夜行バスで約13時間。 大阪からは車で約5時間30分、JRで約5時間です
  • 広島からは車が速いです。広島ICから戸河内ICまで43km、そこから国道191号で合計約2時間です。 バスは戸河内IC経由で約2時間30分、六日市IC経由で約3時間30分です
  • 高速のインターから益田市街までは、戸河内IC約80分(国道191号)、六日市IC約70分(国道187号)、 小郡IC約90分(国道9号)、石見三隅IC約30分(国道9号)です
  • 石見交通の路線廃止が続いています。匹見線・梅月線・種線が2025年3月15日限り、都茂線が同年9月30日限りでした。 都茂線の代替として、乗合タクシー美都線が2025年10月1日に運行を始めました
  • 2026年7月13日より当面の間、周布線(9号線経由)・浜田益田線・弥栄線・長沢瀬戸ヶ島線が臨時ダイヤで、一部の便が運休しています
  • 夜行高速バス「つわのエクスプレス」の津和野〜大阪線は、当面の間運休中です
  • JR山陰本線の益田〜出雲市は1933年の全通で、2001年に高速化工事が完成しました。 輸送密度が2020年に1日1,000人を割り込み、沿線5市・JR西日本・島根県で利用促進協議会ができています
  • 展示室とセンター全体で休みの日が別です。開館の状況は、行く前に確かめてください

土産は宍道湖のしじみになる

益田の川と海のものは、旬が月単位で区切られます。

そこで持ち帰る側に並ぶのは、島根県全体の品になります。

宍道湖の大和しじみは、砂抜きが済んだ冷凍で届きます。 500gを4袋に分けた2kgと、粒の大きい特大のサイズから選べます。

宍道湖は島根県の東側の湖で、益田のものではありません。 それでも冷凍なら日持ちを気にしなくてよいので、帰り際でなく先に買っても荷物の扱いに困りません。

砂抜きが済んでいるぶん、帰ってから水に浸ける手間も要りません。

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泊まると、朝いちばんに匹見へ入れる

この1日で落ちるのは、匹見です。

石見交通の匹見線バスは2025年3月15日の運行をもって廃止されました。 匹見地域の市営「やまびこバス」は予約制で、日曜・祝日は動きません。

市街から匹見峡温泉までは車で約47分、国道9号の匹見口からでも54.9km・約1時間8分の道のりです。 表匹見峡は全長4km、奥匹見峡は駐車場から2kmあります。

日帰りでは、この2本を落ち着いて歩く時間が残りません。

益田の宿は2か所に分かれます。 1つは益田駅の周りで、空港バスと列車に強く、翌朝に車で山へ向かうにも出やすい位置です。 もう1つは海沿いで、西平原町の荒磯には温泉を引く宿があります。多田の温泉や、木部の海辺の宿もあります。

市内の宿泊施設は25軒です(ホテル10・旅館5・民宿ペンション3・公共の宿4・キャンプ場3)。 数が限られるので、日程が決まったら先に押さえるほうが確実です。

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服装と持ち物

  • 庭を2つと、グラントワの回廊を歩きます。歩けるきれいめスニーカーで
  • 中庭は45m四方の吹き抜けです。日差しと雨をそのまま受けるので、折りたたみの傘を1本
  • 寺の庭は砂利と石段です。靴底の溝が深いものを
  • 平野部は平均気温15〜16度、年間降雨量1,500〜1,700mmです。羽織りものを1枚
  • 水盤と壁の瓦を撮るなら、予備の電源を1つ

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