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旅行

伊那・高遠日帰りモデルコース|断層の谷に、1種だけの桜1,500本

公開: 2026-10-24 | #伊那 #高遠 #日帰り #観光 #中部

伊那市は長野県の南、南アルプスと中央アルプスに挟まれた谷にあります。

東京から中央道で約2時間45分(約220km)。バスタ新宿発の高速バスでも約3時間30分です。 鉄道は中央本線と飯田線を岡谷・辰野で乗り換えて約3時間30分で、時間の利はありません。

この谷は中央構造線という日本最大の断層が刻んだものです。 谷が直線に伸びているのは、そのためです。

高遠の城も桜も蕎麦も、すべてこの谷の形から出ています。

ルートマップ|このコースの動き方※位置・距離は概略のイメージです
天竜川JR飯田線(伊那市駅)伊那市駅09:40 START2高遠城址公園10:403進徳館12:104しんわの丘ローズガーデン14:30伊那市街16:30 GOAL日帰りのルートJR飯田線(伊那市駅)N

桜は2週間で終わり、年ごとに10日以上ずれる

先に条件を書きます。

伊那市観光協会が、過去の実績と10年平均を公表しています。

  • 10年平均は咲き始めが4月2日頃、見頃から満開が4月9日、散り終りが4月19日
  • 実績では2023年の咲き始めが3月25日で最も早く、2024年は4月5日
  • 咲き始めから見頃まで約1週間、散り終わりまで2週間ほど

年によって10日以上動きます。

さくらまつりの期間中は入園が有料になり、開園時間も限られます。 期間外は無料で、24時間入園できます。

お花見循環バスとシャトルバスは、桜の咲き具合で運行日が決まります。 日程を先に確定することはできません。行く前に伊那市観光協会の開花情報を確かめてください。

1日の流れ

  1. 09:40

    伊那市駅に着く移動

    東京から高速バスで約3時間30分です。鉄道も中央本線と飯田線で約3時間30分かかります(岡谷・辰野で乗り換え)。

  2. 10:10

    バスで高遠へ向かう移動

    JRバス関東の高遠線で約25分です。毎日運行ですが現金のみで、交通系ICカードは使えません。

  3. 10:40

    高遠城址公園に上がる移動

    高遠駅から徒歩約20分、タクシーで約5分です。三峰川と藤澤川の合流点の河岸段丘で、本丸の標高は約800mです。

  4. 11:20

    1,500本の桜と段丘の崖を見る

    自生するのは固有種タカトオコヒガンザクラ1種のみです。南側は三峰川に切り立つ崖で、本丸までの高低差は約80mあります。

  5. 12:10

    進徳館と高遠閣を見る

    進徳館は万延元年3月創設の藩校で、城内に唯一残る江戸時代の建物です(建物内は立入禁止)。高遠閣は昭和11年建設の木造総2階建です。

  6. 13:10

    高遠そばで昼にする移動

    焼き味噌・辛味大根・ねぎの辛つゆで食べます。汁気が少なく、辛味の強い高遠辛味大根を使います。

  7. 14:30

    しんわの丘ローズガーデンに上がる移動

    平成19年6月にグランドオープンした約10,000m2の庭です。約270種類・約3,000株で、眼下の町並みと中央アルプスを望みます。

  8. 16:30

    伊那市街でローメンを食べて帰る移動

    羊の肉と蒸した固めの中華麺をキャベツとキクラゲと煮込む伊那市生まれの料理です。上伊那地方のおよそ90軒の店が出しています。

  9. 時刻は目安です。列車やバスのダイヤは改正で変わるため、出発前に各社の時刻表でお確かめください。

1,500本あって、桜は1種類だけ

数字から入ります。

高遠城址公園の桜は1,500本です。 樹齢50年以上が約1,000本、明治初期に植えられた古木が約10本あります。

ここで効くのは本数ではなく、種類の数です。

公園周辺に自生するのは固有種タカトオコヒガンザクラの1種のみで、 1種でこれほどの樹林を作っている場所は他にありません。

だから1本の木ではなく、樹林として指定されています。 「高遠のコヒガンザクラ樹林」が長野県天然記念物になったのは昭和35年2月です。

門外不出の交配種

この桜はマメザクラとエドヒガンの交配種の一系です。

高遠町で開かれた国際さくらシンポジウムで、平成2年4月に正式に命名されました。 命名が平成に入ってからだという点が、この桜の扱いを示しています。

門外不出とされ、保護育成のための桜憲章も昭和54年に制定されています。 同じ平成2年には、日本さくらの会のさくら名所百選にも選ばれました。

だから見ているのは、よそへ持ち出せない1種類の樹林です。

桜の起点は、城が無くなったあと

桜は城があった時代のものではありません。

明治5年に廃城となり、明治6年7月までに建物が残らず取り壊されました。 明治8年10月に公園化が決まり、植樹は明治9年7月です。

植えたのは旧高遠藩士と、東高遠町の人々でした。 隣村の景勝地「桜ノ馬場」から芝草と桜のひこばえを掘り取って運んでいます。

つまり城が消えて空いた平地が、桜の場所になったということです。

二ノ丸に残る高遠閣は昭和11年の建設で、木造総2階建、2階に200畳敷の大広間があります。 昭和初期の大規模和風建築として稀有とされ、国の登録有形文化財です。

「天下第一桜」の碑は昭和9年の建立です。 高遠出身の眼科医・内田孝蔵が建て、その言葉が今も公園のキャッチコピーになっています。

城は川が合流する段丘の上にある

公園が平らなのには理由があります。

高遠城は三峰川と藤澤川の合流点の河岸段丘に築かれた平山城です。 三峰川は天竜川水系最大の支流です。

  • 本丸の標高は約800m
  • 三峰川から本丸までの高低差は約80m
  • 南側は三峰川に切り立つ崖

そして諏訪盆地と伊那谷を結ぶ杖突街道に面しています。

川が削った崖がそのまま守りになり、段丘の上面が城の平地になりました。 その平地が、廃城後に桜の公園へ変わっています。

国の史跡指定は昭和48年、日本100名城の選定は平成18年で30番です。

一日で落ちた城と、唯一残った建物

城の歴史は短い場面で決まっています。

武田信玄が改修したのが天文16年。 織田軍との戦いで落城したのは天正10年3月で、わずか一日でした。

城主の仁科盛信は数千の兵で数万の軍勢と対戦しています。 武田氏の高遠支配は35年ほどで終わりました。

江戸時代は高遠藩の政庁になり、保科・鳥居・内藤の三家が城主を務めます。 石高は3万3千石、明治5年の廃城まで約270年間です。

その270年から残った建物が、三ノ丸の藩校進徳館です。 万延元年3月に藩主内藤頼直が創設したもので、城内に唯一残る江戸時代の建物です。

公園の駐車場から徒歩2分ほど。入場は無料ですが、建物内は立入禁止で、外から見る形になります。

城の建物が残らず取り壊されたあとも、藩校だけは三ノ丸に建っています。

秋に色づくのはカエデだけ

桜の木は秋に目立ちません。

タカトオコヒガンザクラはほとんど紅葉せずに落葉します。 だから秋に色づくのは、園内のカエデ約250本です。

高遠城址もみじ祭りは10月下旬から11月上旬で、入園は無料です。

同じ時期に、高遠閣で高遠そばの新そば祭りも開かれます。 2026年は10月31日から11月8日の9日間です。

蕎麦は標高が作った

伊那市は信州そば発祥の地を名乗ります。

根拠は伝承です。 奈良時代に修験者の役小角が内の萱(現在の伊那市荒井区)にそばの種を残したという話があり、 その地粉の手打ちそばが行者そばと呼ばれています。

高遠そばは焼き味噌・辛味大根・ねぎの辛つゆで食べます。 汁気が少なく、辛味が非常に強い高遠辛味大根を使います。

ここで谷の条件が出てきます。

市役所の海抜は632m、最高地点の塩見岳東峰は3,052mです。 標高850m以上で育った新そばは「信州伊那プレミアムそば」と呼ばれます。

冷涼で傾斜の多い谷でも育つのが、そばでした。 長谷の「入野谷在来そば」は、わずか6粒から復活した在来種です。

高遠藩主の保科正之は寛永8年から寛永13年まで高遠にいて、最上(山形)へ移りました。 転封のときにそば職人を連れていったという経緯が、伊那市の説明に残っています。

ローメンは羊と、蒸した固めの麺

伊那市街に戻ったらローメンです。

羊の肉と蒸した固めの中華麺を、独特のスープでキャベツとキクラゲと煮込みます。 伊那市生まれの料理で、上伊那地方のおよそ90軒の店がメニューに入れています。

系統は2つあります。焼きそば風とスープ風です。 肉は羊か豚です。

味付けは薄めです。 卓上の酢・ソース・ごま油・七味で自分で調えるのが作法です。

伊那谷は馬肉にも親しんできました。 信州で馬肉を食べる習慣は伊那がはじまりだと、伊那市は書いています。

馬刺と、馬のモツを醤油や味噌で煮込む「おたぐり」があります。 名は、長い腸の中身を絞り出すためにたぐりよせる動作からという説です。 近年は馬のモツが入手しにくく、豚のモツでも作られます。

高遠は車とバスが前提

実務の注意です。

車なら中央道諏訪ICから国道152号で約50分、伊那ICから国道361号で約30分、小黒川スマートICから約25分です。

公共交通ならJR飯田線の伊那市駅・伊那北駅からバスで約25分、 高遠駅から城址公園まで徒歩約20分(タクシーで約5分)です。

このバスに1つ注意があります。 JRバス関東の高遠線は毎日運行ですが、現金のみで交通系ICカードが使えません。 お花見循環バスとシャトルバスも現金のみです。

100名城のスタンプは高遠町歴史博物館にあります。 正面玄関の屋外なので通年押せます。さくらまつりの期間中は高遠閣にも臨時で置かれます。

同じ市内でも距離があります。 伊那市の総面積は667.93km2で長野県内3番目、東西37.2km・南北44.7kmです。 市内の移動時間を甘く見ないほうがよいです。

谷の上流の峠は、日帰りには重い

国道152号を南へさかのぼると分杭峠です。

中央構造線の真上です。 北を向くと、断層が作ったケルンコル(断層鞍部)とケルンバット(断層小丘)が並び、 谷が一直線に伸びているのが分かります。

「従是北高遠領」の石柱が旧高遠藩の境を伝え、 秋葉神社へ向かう信仰の道、秋葉街道が越えていた峠です。

ただし車では行けません。 駐車場がなく、車両の駐停車が禁止されています。

手段は戸台パーク発の路線バス「分杭 気の里ライン」だけです。 片道30分で、毎日運行は上り4便・下り4便。土日祝は上下それぞれ3便増えます。

冬は閉まります。閉鎖は12月初旬から4月中旬までで、2026年の運行は4月12日から12月1日までの予定です。

組み合わせによっては、峠の滞在が30分しかありません。 城址公園と同じ日に詰めるのは難しい場所です。

お土産は野沢菜と果汁のゼリー

持ち帰りが効くのは、信州の漬物と、果物の加工品です。

野沢菜は醤油漬けが定番で、わさび風味のものもあります。 冷涼な土地の保存食が、そのまま土産の棚に並んでいます。

もう1つは、信州産の果汁を寒天や蒟蒻で固めたフルーツゼリーです。 常温で持てるので、谷を回ったあとの荷物に足しやすいものです。

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泊まると、朝の桜に入れる

このコースを泊まりにする意味は、朝の時間です。

さくらまつりの開花最盛期とライトアップ期間だけ、城址公園は午前6時に開きます。 夜桜のライトアップは夜9時までで、それ以降は入園できません。

東京から約3時間30分、さらに伊那市駅からバスで約25分、 高遠駅から徒歩約20分という距離では、この朝と夜の両端を日帰りで押さえられません。

宿は伊那市駅と伊那北駅の周り、高速バスのバスターミナルの近くに集まります。 高遠の側には温泉を持つ宿があります。城址公園に近いのはこちらです。

開園と同時に園内に立てるのは、近くに泊まった人だけになります。

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服装と持ち物

  • 段丘の上と下を歩きます。歩けるきれいめスニーカーで
  • 本丸と三峰川の高低差は約80mです。坂と階段があります
  • 市役所の海抜は632m、本丸は約800mです。桜の時期の朝は冷えるので羽織りものを1枚
  • バスは現金のみです。小銭を用意しておく
  • 公園は広く、日陰は限られます。帽子と飲み物を

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