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旅行
赤穂日帰りモデルコース|塩の富が、19万㎡の城と忠臣蔵を建てた
公開: 2026-10-24 | #赤穂 #坂越 #日帰り #観光 #関西
赤穂市は兵庫県の西南端、岡山県との県境にあります。 南は播磨灘に面し、海岸線は瀬戸内海国立公園の一角です。
山陽新幹線は相生で降りて、JR赤穂線で播州赤穂駅へ入ります。 大阪から電車で約2時間、岡山からは約1時間です。
同じ兵庫でも、姫路が城そのものを見る町なら、ここは城の原資を見る町です。 この1日は、塩の富が何に化けたかをたどる順に組んであります。
行く前に、曜日と日を決める
赤穂は館の多い町ですが、休みの曜日が2つに分かれています。 海の側(塩の国と坂越の各館)と、城下町の側(歴史博物館と民俗資料館)で別の曜日です。 1日で全部に入るつもりなら、曜日を先に確かめてください。
市内循環バス「ゆらのすけ」は、曜日でルートが入れ替わります。 御崎・尾崎の側へ行くルートは決まった曜日だけで、日曜は全ルートが運休です。 城下町と塩の国と坂越をまとめて回るなら、車かレンタサイクルが前提になります。
塩の国は、行く日によって中身が変わります。
- 大平釜の釜焚き実演は月に1〜2回だけです。整理券制で定員があり、個人も団体も事前予約はできません。入館券を買うときに希望を伝えます。2026年10月から2027年2月の予定日は10月25日・11月8日・11月22日・12月13日・1月24日・2月14日・2月28日です
- 塩田案内人による解説は、個人向けは春から秋の日曜・祝日のみで、雨天は中止です
- 塩づくり体験は10名以上でないと予約できません。10名未満は当日の窓口だけで、週末と祝日の昼前後は満席になることが増えます
- 未就学児は見学のみで、小中学生だけでは体験できません
- 潮かけ・ひき浜を含む大人の塩田作業体験は、秋から春の限られた日の団体だけです
坂越湾の生島には上陸できません。 大避神社の神域として古代から人の出入りが禁じられ、魚つき保安林でもあります。 対岸か、妙見寺の観音堂から見る島です。
坂越の牡蠣は、生産者の表記で冬の真牡蠣が12月中旬から5月中旬、夏から秋の真牡蠣が6月から11月頃です。 年により前後します。牡蠣むき体験と屋外の食べ放題は冬のあいだだけです。
御崎の桜約1,700本は春だけです。 坂越の船祭りは10月の第2日曜、赤穂八幡宮の秋祭りは第3日曜に限られます。 義士行列が出る赤穂義士祭は毎年12月14日で、第123回は2026年12月14日です。
1日の流れ
- 09:40
播州赤穂駅に着く移動
山陽新幹線は相生で降りてJR赤穂線に乗り換えます。大阪から電車で約2時間、岡山からは約1時間です。
- 10:10
赤穂城跡を歩く移動
慶安元年(1648年)着工、13年かけて築かれた変形輪郭式の海岸平城です。国史跡の指定面積は190,405.17㎡で、駅から徒歩15分です。
- 11:00
大石神社に参る
大正元年(1912年)11月の鎮座です。赤穂四十七義士と萱野三平を主祭神とし、昭和28年(1953年)に義士の木像49体を安置しました。
- 11:40
歴史博物館と民俗資料館を見る移動
歴史博物館は平成元年(1989年)建設で常設展示は4テーマ。民俗資料館は明治41年(1908年)竣工の旧赤穂塩務局庁舎です。
- 13:20
塩の国で塩田を見る移動
揚浜式・入浜式・流下式枝条架の3方式を復元した国内最大級の施設です。最終工程は3m×2.6mの大きな平釜で焚きます。
- 15:10
坂越のまち並みへ移動
塩を江戸・大坂へ積み出した廻船の町です。旧坂越浦会所は1831年から1832年に村会所として建てられました。
- 16:00
大避神社と生島を見る
本殿は明和6年(1769年)、拝殿と神門は延享3年(1746年)の再建。生島は周囲1,630mで、上陸はできません。
- 17:10
播州赤穂駅から帰る移動
坂越は駅から遠く、播州赤穂駅までは車で12〜13分です。循環バスは日曜に全ルート運休します。
- 時刻は目安です。列車やバスのダイヤは改正で変わるため、出発前に各社の時刻表でお確かめください。
雨が少ない浜に、千種川が砂を敷いた
赤穂に気象庁の観測所はないので、近い観測点の平年値で見ます。
1991年から2020年の平年値で、姫路が年降水量1,254.7mm・年間日照時間2,034.4時間。 千種川の上流にあたる上郡が1,302.2mm・1,984.7時間です。
全国平均は約1,700mmです。どちらも明らかに少なく、そのぶん日が差します。 赤穂市も自分の気候を「温暖で雨量が少ない典型的な瀬戸内海型気候」と書いています。
入浜式塩田は、潮の満ち引きで浜に海水を入れ、日と風で水を飛ばす仕掛けです。 雨が降れば止まります。雨の少なさが、そのまま生産量になります。
もう一つの条件が千種川です。 全長約68kmの二級水系の本流で、環境省の名水百選に選ばれています。 水量が多く昔から枯れたことがないので「枯れない川」とも呼ばれます。
この川が河口に砂を敷きました。 砂の浜は水を通すので、潮を浸み込ませて塩分を引き上げる入浜式に向きます。
岩の海岸では成り立ちません。 赤穂の塩は、気候と川の条件が重なった場所にだけできた産業です。
塩田は東浜約150ha・西浜約250haまで広がった
数字から押さえます。
正保2年(1645年)に入封した浅野家の三代が、約100haの塩田を開きました。 江戸時代には千種川の東に約150haの東浜塩田、西に約250haの西浜塩田まで広がります。
入浜塩田は昭和30年代の転換まで約300年続き、明治38年には塩務局が特設されました。 そして現在も、国内の塩生産量の約2割が赤穂です。
なぜここまで広げたのか。
塩は江戸と大坂で現金になりました。 塩田は、藩が自分で現金を作れる装置でした。
だから藩はまず浜を広げ、その収入で城と城下町を建てます。 この順番が、このあと見るものを決めています。
塩田の富は、菓子の歴史にも残っています。 餡に赤穂の塩を効かせた塩味饅頭が1853年に創製され、作った店は藩の御用菓子司を務めました。 義士の討ち入りのあとは「義士まんじゅう」「大石まんじゅう」とも呼ばれた菓子です。
3方式の塩田を、1か所で見比べられる
赤穂市立海洋科学館に併設の「塩の国」は、揚浜式・入浜式・流下式枝条架の3方式の塩田を復元しています。 国内最大級の塩田復元施設です。 科学館はエントランスに直径1.8mの海底地球儀を置き、4ゾーンで構成されています。
3方式を並べる意味は、手間の減り方が見えることです。
- 揚浜式は、人が海水を担ぎ上げて浜に撒く
- 入浜式は、潮の満ち引きが海水を浜に入れる
- 流下式枝条架は、竹の枝に海水を垂らして風が水を飛ばす
人の力を、潮の力に、そして風の力に置き換えていった順番です。
どの方式でも最後は同じです。 濃くした海水を3m×2.6mの大きな平釜で焚きます。
日と風でできるのは濃縮までで、結晶にするには火が要る。 実演の日に当たれば、その釜に火が入ります。
19万㎡の城は、海に向いた平城
赤穂城は慶安元年(1648年)に着工し、13年の歳月をかけて築かれました。 変形輪郭式の海岸平城です。
浅野長直の命で藩の軍学師範・近藤正純が設計し、二之丸門虎口の縄張は、 赤穂に配流されていた山鹿素行が手がけたとされます。
国史跡の指定時の面積は190,405.17㎡。約19haです。 城跡は昭和46年(1971年)に国史跡、本丸庭園と二之丸庭園は平成14年(2002年)に 国の名勝「旧赤穂城庭園」になり、平成18年(2006年)に日本100名城に選ばれました。
山に建てていません。海の側の平地です。
守る対象が山ではなく、浜と船着き場だったからです。
塩を積み出す港と塩田が城の外に広がり、それを抱えるように縄張が引かれています。 城の規模は、塩の収入の規模です。
四十七義士は、1701年3月14日から始まる
赤穂大石神社は大正元年(1912年)11月に鎮座しました。 明治33年に明治天皇の宣旨で神社の創立が公許され、赤穂四十七義士と萱野三平を主祭神に、 浅野家三代の城主と森家の武将七代を合祀しています。 昭和28年(1953年)には義士の木像49体が安置されました。
年表で見るとこうなります。
- 元禄14年(1701年)3月14日 江戸城松の廊下で浅野長矩が吉良義央に刃傷。同日夕刻に長矩が切腹
- 元禄15年(1702年)4月19日 赤穂城の明け渡しが完了
- 同年7月28日 円山会議で討ち入りを決議
- 同年12月15日 吉良邸討ち入り
- 元禄16年(1703年)2月4日 四十六士が預け先4藩の江戸屋敷で切腹
刃傷から討ち入りまで1年9か月です。
城を明け渡してから討ち入りまでは、8か月近く間が空いています。
藩が消えたあとも人と金が動けたのは、この城下町にそれが溜まっていたからです。
神社は毎年9月26日に山鹿素行祭を行います。 城の縄張を引いた人を、いまも祀っています。
旧塩務局の庁舎が、資料館として残っている
赤穂市立民俗資料館は、明治41年(1908年)竣工の旧大蔵省赤穂塩務局庁舎です。 昭和61年(1986年)に兵庫県の重要有形文化財建造物に指定されました。
塩務局は明治38年に特設された、塩を国が管理するための役所です。 その庁舎がこの町に建ったということは、赤穂の塩が国の財源として扱われていたということです。
城下町にはもう1つ館があります。
赤穂市立歴史博物館は平成元年(1989年)の建設で、常設展示は4テーマです。 1階が国指定重要有形民俗文化財の製塩用具を中心にした「赤穂の塩」、 2階が「赤穂の城と城下町」「赤穂義士」「旧赤穂上水道」です。
4つ目の上水道が効きます。
旧赤穂上水道は元和2年(1616年)の敷設で、江戸・福山と並ぶ日本三大上水道の一つとされます。 400年以上たった今も、農業用水路として使われています。
海水から塩を取る町を作るには、塩気のない水を別に引く必要がありました。
坂越は、塩を江戸と大坂へ積み出した港
坂越は千種川の河口の東にある港町です。 廻船で栄えた通りに、建物が残っています。
旧坂越浦会所は1831年から1832年に村会所として建てられ、赤穂藩の茶屋も兼ねました。 2階の茶室「観海楼」の窓から坂越港を見下ろせます。 坂越まち並み館は、大正時代の奥藤銀行坂越支店を修景整備した建物です。
通りの奥に大避神社があります。 秦河勝を祀り、本殿は明和6年(1769年)、拝殿と神門は延享3年(1746年)の再建です。 絵馬堂には40点以上の絵馬があり、最古の船絵馬は享保7年(1722年)の年号を持ちます。
船絵馬が40点以上たまる港は、船主が自分の船を奉納できるだけ稼いだ港です。
その正面に生島が浮かびます。 周囲1,630mの小島で、「生島樹林」は国の天然記念物です。 大部分が常緑樹で、神域として人の出入りを禁じてきたので伐採されずに残りました。
赤穂は日本遺産に2件が認定されています。 塩のストーリー「『日本第一』の塩を産したまち 播州赤穂」と、 北海道から香川までの広域ストーリー「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間〜北前船寄港地・船主集落〜」です。 塩を作った町としても、塩を積み出した港としても入っています。
城下町・塩の国・坂越は、足がつながっていない
実務の注意です。
- 播州赤穂駅から赤穂城跡と大石神社は徒歩15分です。大石神社の前に無料の駐車場があります
- 塩の国(海洋科学館)へは、土・日・祝日は赤穂海浜公園前までのバスがあります。それ以外は「赤穂高校」で降りて南へ約1km歩きます
- 海洋科学館の駐車場は県立赤穂海浜公園の有料駐車場を使います。事前予約はできません
- 坂越は駅から遠いです。旧坂越浦会所と坂越まち並み館はJR坂越駅から徒歩25分、播州赤穂駅からは車で12〜13分。牡蠣の直売所は坂越駅から車約10分です
- 市内循環バスは6ルートありますが、曜日でルートが入れ替わり、日曜は全休です
- 車は山陽自動車道の赤穂ICから。大石神社まで10分、海洋科学館まで約15分、きらきら坂まで約20分です
- 市公式に鉄道・路線バス・循環バス・圏域バスを載せた「赤穂市総合時刻表」が置かれています。デマンドタクシーもあります
- 夕方になると館は閉まります。坂越の建物の中に入るつもりなら、城下町を短くして先に回してください
持ち帰るのは、赤穂の塩が入った菓子
この町で持ち帰るのは、塩を使った菓子です。
出てくるのは、金平糖に赤穂の塩を効かせたものです。 40gの小さな包みで、箱入りと袋入りがあります。
甘いものに塩を入れる理由は、この町の歴史そのままです。 塩が手近にあるので、菓子の味を締めるのに昔から使われてきました。
塩分の補給という売り方もされていて、汗をかく季節に持ち歩く人がいます。 アイスに散らす使い方も書かれています。
箱入りは渡すため、袋入りは自分用。配る相手の数で決まります。
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泊まると、御崎の日没まで粘れる
日帰りでは、赤穂の宿がある場所に行きません。
赤穂温泉の宿は、全部が御崎の崖の上に集まっています。 行くには播州赤穂駅からバスで約25分かかります。
泉質は「含弱放射能カルシウム・ナトリウム塩化物強塩低温泉」。 塩田で塩を煮詰めてきた町の湯も、塩化物泉です。 昭和45年に「赤穂御崎温泉」として出湯し、平成12年12月に現在の温泉が始まりました。 観光協会の掲載は6軒です。
ここに泊まると、播磨灘に日が沈むまで崖の上にいられます。 晴れた日は家島諸島・小豆島・淡路島と明石海峡大橋まで見えます。
日帰りでは難しい時間です。 御崎へ行く循環バスのルートは決まった曜日だけで、日曜は運休です。 夕景の時刻には、帰りの足が細くなります。
城下町の側、駅と加里屋の周りにも宿があります。 朝いちばんに城跡を歩くなら、こちらが近いです。

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服装と持ち物
- 城跡は約19haあります。歩けるきれいめスニーカーで
- 塩田は日除けのない屋外です。雨が少なく日照の多い土地なので、帽子と日焼け止め
- 塩づくり体験は釜の前に立ちます。濡れてもいい服で
- 坂越は坂と石段があります。妙見寺の観音堂まで上がるなら、底の滑らない靴で
- 海沿いと崖の上は風が通ります。羽織りものを1枚
- 水を1本。塩の国は屋外を歩きます
