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旅行

備前・閑谷日帰りモデルコース|講堂の屋根が、隣町の焼き物でできている

公開: 2026-10-23 | #備前 #閑谷 #日帰り #観光 #中国

備前市は岡山県の南東部にあります。 海側の旧日生町域は岡山県の東南端で、 昭和38年に福浦地区が兵庫県赤穂市へ越県分離しました(いずれも備前市公式)。

いまの備前市は、2005年3月22日に備前市・日生町・吉永町が合併してできた市です。 この記事で歩くのは3か所です。 備前焼の町・伊部、海に面した日生、そして谷あいの閑谷です。

伊部へはJR赤穂線で。 閑谷の最寄りはJR山陽本線の吉永駅で、そこからタクシー約5分(約4km)です。

同じ市内でも、伊部駅から閑谷学校への直通のバスはありません。 この2つを1日で結ぶなら、車が速いです。

ルートマップ|このコースの動き方※位置・距離は概略のイメージです
瀬戸内海JR赤穂線(伊部駅)JR山陽本線(吉永駅)伊部駅10:00 START2天保窯11:303天津神社12:104閑谷学校13:30吉永駅16:10 GOAL日帰りのルートJR赤穂線(伊部駅)N

行く前に日付で決まること

この土地は日付で見えるものが変わります。先に置きます。

  • 楷の木の紅葉は、公式告知の見頃予定が11月上旬から中旬です。 もみじは場所により11月中旬から下旬で、黄葉亭の周辺も色づきます
  • 国宝講堂と楷の木のライトアップは夜のみです。 2025年は11月1日から9日の夕方から夜に行われました。 日帰りでは届きません。2026年の日程は公式で確かめてください
  • 聖廟の釈菜(孔子を祀る儀式)は毎年10月です。その日に合わせないと見られません
  • 閑谷マルシェは毎月第3日曜日です。 最新年度の実施は確認が取れていないので、行く前に見てください
  • 備前焼まつりは毎年10月の第3土・日曜の2日間だけです。 2日間で約10万人が集まるので、この2日に静かな伊部歩きはできません。 日付は年で動くので、公式で確かめてください
  • 殻付き牡蠣が出るのは11月から春まで、 カキオコは10月下旬から3月の季節限定です。 シーズンの始まりと終わりは年で動きます
  • 公共交通は備前市営バスの2路線だけです。 曜日によって動く路線が変わり、本数も限られます。 どの曜日に行くかで、閑谷への入り方が決まります

1日の流れ

  1. 10:00

    伊部駅に着く移動

    JR赤穂線の駅です。1958年3月25日開業で、2024年の1日平均乗車人員は400人。北口に備前焼伝統産業会館が併設されています。

  2. 10:20

    備前焼の窯元街を歩く

    伊部地区で窯が本格化したのは12世紀。釉薬を使わず1,200度以上で約2週間焼き締めます。駅から美術館までは徒歩約1分です。

  3. 11:30

    天保窯へ移動

    江戸時代後期に焼成期間を35日程度から10数日に短縮した窯です。まち歩きコースでは食事処から徒歩約10分の位置にあります。

  4. 12:10

    天津神社に寄る移動

    応永18年(1411年)創建。天保窯から徒歩約5分です。備前観光協会のまち歩きコース全体の目安は約5時間です。

  5. 13:30

    閑谷学校へ移動

    伊部駅からタクシー約20分。直通のバスはありません。車のほうが速い区間です。

  6. 14:10

    国宝講堂と765mの石塀を見る

    1670年(寛文10年)着工、1673年に講堂完成。現存の講堂は元禄14年(1701年)の再建で、1953年に国宝。聖廟などを含む25棟が重要文化財、1954年に特別史跡です。

  7. 15:10

    聖廟前の楷の木2本

    中国山東省曲阜の孔林から持ち帰った種子を苗に育てた木です。聖廟では毎年10月に釈菜が行われます。

  8. 16:10

    吉永駅から帰る移動

    閑谷学校から吉永駅はタクシー約5分(約4km)。JR山陽本線の駅です。

  9. 時刻は目安です。列車やバスのダイヤは改正で変わるため、出発前に各社の時刻表でお確かめください。

いま建つ講堂は1701年の再建、石塀は765m

数字から入ります。

旧閑谷学校は、岡山藩主・池田光政の命で1670年(寛文10年)に建設が始まり、 1673年に講堂が完成しました。

ただしいま建っているのは、元禄14年(1701年)の講堂です。 公式サイトの沿革は、元禄10年(1697年)から着手した備前焼瓦葺きの講堂が1701年に成り、 「現在目にする閑谷学校の全容が整う」と記します。 1673年の茅葺きの講堂がそのまま残っているわけではありません。

その1701年の講堂が1953年に国宝になりました。 聖廟や閑谷神社などを含む25棟が重要文化財で、 1954年には特別史跡になっています。

そして学校全体を取り囲む石塀は765mあります。 公式サイトは、石塀が築かれたのも元禄14年(1701年)としています。

創建の年は資料によって1670年と1671年に分かれます。 ここでは着工1670年・講堂完成1673年の表記に従っています。

石と、焼いた瓦と、火除山

なぜこれだけ残っているのか。

公式サイトは、現存の石塀を「300年経過」と記します。

石を切って765m積む。 創建時は茅葺きだった屋根を、備前焼瓦に葺き替える。 学舎からの出火が講堂に及ばないよう、人工の「火除山」を築く。

講堂の内部は欅の丸柱10本で支えています。

壊れない材料と、燃え移らない配置。 創建から順に手が足されて、この形で残っています。

屋根に載っているのは、焼いた瓦

屋根の材料の話です。

公式サイトは講堂を、創建当時は「茅葺き」、その後改築され現在の堅牢な「備前焼瓦」に葺き替えられたと記します。 校門の屋根も備前焼の本瓦葺きです。

年も沿革に出ています。 延宝5年(1677年)に旧講堂を黒瓦葺きに改め、 元禄14年(1701年)に備前焼瓦葺きの講堂が成りました。 いま載っている備前焼瓦は、1701年の講堂と同時のものです。

その備前焼を焼いてきた町が、閑谷から赤穂線側へ下った伊部です。 備前焼は釉薬を使わず、1,200度以上で約2週間焼き締めます。 釉薬をかけないので、土そのものが固まるまで焼くことになります。

燃える材料をやめたという事実が、屋根に残っています。

伊部の土は、粘り気が強く鉄分が多い

伊部は流紋岩の不老山・医王山・榧原山に挟まれた土地です。

ここで採れるのが「干寄(ひよせ)」と呼ばれる土で、 粘り気が強く、鉄分が多く、耐火性が低いという性質を持ちます。 その土を1,200度以上で約2週間焼きます。

色は、鉄分のほうから説明されています。 岡山県観光連盟は、粘土に含まれる鉄の酸化あるいは還元によって窯変が現れるとし、 それを緋襷・胡麻・牡丹餅・桟切と呼び分けています。

条件として挙げられているのは、窯のどこに置いたか、どう詰めたか、薪をどう焚いたかです。

土の性質と、窯の中の条件。 窯変の名前は、この2つの話として説明されています。

窯は6世紀から動いていた

長さも数字で出ています。

最古は6世紀中頃の木鍋山窯跡。 7世紀後半から8世紀初頭に寒風古窯跡群の周辺、8世紀に佐山、 そして12世紀に伊部地区で本格化しました。

評価は近代に重なります。 1982年11月1日に国の伝統的工芸品に指定され、 2017年4月29日に六古窯として日本遺産に認定されました。

天保窯は焼く日数を35日から10数日に縮めた

伊部に現存する天保窯は江戸時代後期の窯です。

ここで起きたのは時間の短縮でした。 焼成期間を35日程度から10数日にしています。

燃料も人手も日数で決まります。 短くなれば、同じ手間で数が作れます。

窯の近くには応永18年(1411年)創建の天津神社があります。

備前観光協会のまち歩きコースでは、 食事処から天保窯まで徒歩約10分、天保窯から天津神社まで徒歩約5分。 コース全体の目安は約5時間です。

聖廟の前に、曲阜から来た楷の木が2本

閑谷に戻ります。

公式サイトは、聖廟前に植えられた二本の楷の木を 「中国山東省曲阜の孔林から種子を持ち帰り苗に育てられた内の2本」と記します。

楷の木は備前市の市木でもあります。

聖廟では毎年10月に、孔子を祀る釈菜が行われます。 公式サイトは釈菜を10月第4土曜日とし、 金銅の孔子像の特別公開は年に数日のみとしています。

紅葉の見頃予定は公式告知で11月上旬から中旬です。 照らされるのも色づくのも、この2本です。

学校はいちど閉じて、また開いた

この学校は江戸時代で終わっていません。

公式サイトの沿革では、1870年(明治3年)に藩政改革で閉鎖され岡山学校に合併、 1873年に山田方谷を招いて再興、1884年に西薇山らが閑谷黌を再興。 1903年に私立閑谷中学校、1921年に県営移管で岡山県閑谷中学校。 1965年に岡山県青少年教育センター閑谷学校が開設されました。

公式サイトは「350年以上の歴史」と記しています。

2015年4月、「近世日本の教育遺産群」として最初の日本遺産に認定されました。

池田光政は寛文8年(1668年)に領内123か所の手習所を設け、 延宝3年(1675年)に藩の手習所を廃止して閑谷に統合しました(公式サイト沿革)。

その意を受けた津田永忠が約30年かけて、1701年に完成させたのが、いまの形です。

交通を先に決めてください

実務です。ここで行程が決まります。

  • 閑谷学校の最寄りはJR山陽本線の吉永駅で、タクシー約5分(約4km)。 赤穂線側からは備前片上駅からタクシー15分、伊部駅からタクシー20分です(備前市公式)
  • 公共交通は備前市営バスの2路線だけです。 南北閑谷学校のぞみ線(吉永駅〜閑谷学校〜伊里駅)と 吉永線(吉永駅〜閑谷学校〜備前片上駅)です。 路線によって走る曜日が違い、本数も限られます。 行く前に運行日と時刻を確かめてください
  • のぞみ線の一部の便は「大池公園せばと」までです。 そこから閑谷学校まで徒歩10分ほどかかります
  • 伊部駅から閑谷学校への直通便はありません。 赤穂線で伊里か備前片上まで行き、バスに乗り継ぐ形になります
  • 車なら閑谷学校に駐車場があります
  • 赤穂線は57.4kmで、1962年9月1日に全線開通しました。 日中の本数は限られるので、帰りの列車から逆算してください
  • 伊部駅は1958年3月25日開業、2024年の1日平均乗車人員は400人。 北口に備前焼伝統産業会館、南口に伊部駅南ふるさと交流センターが併設されています。 伊部は駅から徒歩圏で、まち歩きコースは駅から美術館まで徒歩約1分です

土産は、器と岡山の菓子

備前焼の器が、そのまま土産です。

釉薬を使わず1,200度以上で約2週間焼き締めた器が、伊部の店に並びます。 器で食べることが土地の食べ方になっている産地です。 カップや小鉢なら、持ち帰っても形が決まっています。

備前焼まつりは毎年10月の第3土・日曜で、 2026年の第42回は約47組の窯元・作家・ギャラリーが出店する規模です。 この2日なら、作り手ごとの器を並べて比べられます。

もう1つはきびだんごです。 備前の名物ではなく岡山の土産菓子で、 串入りや箱入りの形で売られています。

海側の日生の牡蠣は、持ち帰るより現地で食べる側のものです。 2017年のかき生産量は、岡山県3,010トンで、広島県18,708トンに次ぐ全国2位(岡山県漁連)。 殻付きが出るのは11月から春までで、 岡山県漁連は、味の最適期を1月後半から2月いっぱいとしています。

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泊まると、夜の講堂に届く

日帰りで確実に落ちるものが1つあります。夜の閑谷です。

国宝講堂と楷の木2本のライトアップは、 2025年の実績で11月1日から9日の夕方から夜のみでした。

谷の中にあるので、日が落ちたあとに動く手段が要ります。 帰りの列車に合わせると、照らされた講堂の前に立つ時間が残りません。

備前市内か吉永周辺に部屋を取ると、この時間が行程に入ります。

この記事で扱える宿は、日生の海沿いの民宿・旅館・ペンションと、 伊部や片上の駅まわりに分かれます。

閑谷の谷あいに取れる宿は、この記事では見つけられませんでした。 どちらに泊まっても、夜は谷から出ることになります。

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服装と持ち物

  • 伊部の窯の町と閑谷の校地を歩きます。歩けるきれいめスニーカーで
  • 閑谷は谷あいです。市街より冷えるので、羽織りものを1枚
  • 校地は石塀沿いと土の道です。滑りにくい靴底で
  • 11月の紅葉期は夕方から冷えます。手袋を1組
  • 海側の日生へ回るなら、港は風が通ります。風を通さない上着を

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