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旅行

五箇山・南砺1泊2日モデルコース|バスが引けたあとの谷に残る

公開: 2026-10-23 | #五箇山 #南砺 #1泊2日 #観光 #中部

南砺に泊まる理由は相倉か菅沼の合掌造り民宿です。

この2つは観光施設ではありません。 20棟と9棟しかない、住民の生活空間です。

日帰り客が去り、路線バスの便が切れたあと、 日没から翌朝までこの谷にいるのは宿泊者だけになります。

冬は条件がさらに狭くなります。 菅沼の雪あかりは冬のうち数日だけで、しかも夜です。 会場の駐車場は台数が少なく、公共交通の便も限られます。

つまりこの谷の夜は、実質的に泊まり前提でしか見られません。

ルートマップ|このコースの動き方※位置・距離は概略のイメージです
庄川JR城端線高岡駅10:30 START2砺波11:303城端駅13:00G相倉合掌造り集落14:00 宿泊相倉の集落06:30 START2菅沼合掌造り集落10:003城端駅14:30高岡駅16:00 GOAL1日目のルート2日目のルートJR城端線N

雪あかりの日から日程を固める

雪の集落がライトアップされる日は、冬のうち数日です。

菅沼合掌造り集落の夜は、日没後の数時間だけ開きます。 日程はその冬ごとに決まります。

会場の駐車場は台数が限られ、バスは事前予約制です。 車で入るなら、停められない日がある前提で考えてください。

岩瀬家・行徳寺は菅沼と同じ日程で点灯します。 相倉のライトアップは別の日程なので、両方を1泊で回る形にはなりません。

ここを狙うなら、日程を先に固定してから宿を探す順番になります。 谷の宿は数が限られるので、逆にすると泊まる場所が残りません。

予約と運休の確認から始める

世界遺産バスには事前予約できる座席があります。

受付の期間と、1回に取れる人数には決まりがあります。 人数が多いときほど、早めに問い合わせるほうが確実です。

次に確認が要るのは運休です。 通年で運休している便と、曜日によって運休する便があります。

区間の決まりもあります。 高速道路を走る区間では、降りたい場所で降りられません。 短い区間だけを乗る使い方にも制限があります。

泊まりの場合、効くのは2日目の帰りの便です。

ここが決まらないと、朝に集落で過ごせる時間が決まりません。 行程は帰りの便から逆算します。

1日目

  1. 10:30

    高岡駅から城端線に乗る移動

    高岡と城端を結ぶ路線です。氷見線とあわせて、2029年をめどにあいの風とやま鉄道へ移管されます。

  2. 11:30

    砺波で庄川が山を出た先を見る移動

    チューリップ球根の栽培面積が全国1位です。となみチューリップフェアは春で、球根の花が見られるのは開花期だけです。

  3. 13:00

    城端駅前から世界遺産バスへ移動

    一部の座席は事前予約制です。曜日によって運休する便があるので、先に確かめます。

  4. 14:00

    相倉合掌造り集落に入る移動

    合掌造り家屋20棟。周囲は標高1000mを超える山で、庄川が刻んだ五つの谷のひとつです。

  5. 15:30

    塩硝と流刑の谷を歩く

    加賀藩が塩硝を買い上げ、幕府にも秘匿しました。1690年に流刑の配所が決まり、1963年の三八豪雪では流刑小屋が倒壊しています。

  6. 17:30

    合掌造りの民宿に入る

    20棟と9棟しかない住民の生活空間です。日帰り客と路線バスが引けたあと、谷に残るのは宿泊者だけになります。

  7. 19:00

    堅豆腐の夕食

    荒縄で縛って運べる堅さの豆腐です。山間で大豆を作り、雪どけ水で豆腐にする土地の食べ方です。

2日目

  1. 06:30

    相倉の集落に誰もいない

    路線バスが動く前の時間です。相倉は1994年に重要伝統的建造物群保存地区に選定された、いまも住民が暮らす集落です。

  2. 08:30

    20棟の屋根の厚みを見る

    急勾配の茅葺きは雪を落とすための形で、その下の多層の小屋組が通風と採光に優れ、江戸時代以降は蚕室に使われました。

  3. 10:00

    菅沼合掌造り集落へ移る移動

    伝統的建築物12棟のうち9棟が合掌造りです。川と山にはさまれた面積しかなく、相倉の次に見ると谷の狭さが分かります。

  4. 11:30

    菅沼の9棟を歩く

    冬の雪あかりは冬のうち数日だけで、日没後の数時間です。会場の駐車場は台数が少ないです。

  5. 13:00

    五箇山豆腐の昼を取る

    にがりを多く入れ石の重しで水分を抜いた堅豆腐です。崩れずに運べる形が、閉ざされた谷の条件から出ています。

  6. 14:30

    城端駅前へ戻る移動

    通年で運休している便があります。帰りの便から朝の時間を逆算します。

  7. 16:00

    高岡駅から帰る移動

    城端線は2029年めどにあいの風とやま鉄道へ移管され、車両も新型に置き換わる計画です。

  8. 時刻は目安です。列車やバスのダイヤは改正で変わるため、出発前に各社の時刻表でお確かめください。

下流から上流へ遡る順番にしてある

この2日は川の流れをさかのぼる向きに組んであります。

1日目に庄川が山を出た先の砺波平野を見て、 そのあと谷へ入ります。

球根の栽培面積は砺波市が全国で一番です。 春にはとなみチューリップフェアが開かれ、品種をそろえた花壇が並びます。

ただし球根の花は開花期の春だけです。

逆の順番にすると、2つを失います。

1つは泊まる場所です。 谷から平野へ下る形にすると、泊まるのは山の外になります。 日没後の集落に残れません。

もう1つは川の見え方です。 平野を先に見ておくと、谷に入ったときに 同じ川が山を削った側を見ていることが分かります。

夜と朝だけ、谷にいるのは泊まった人だけ

ここがこの行程の中心です。

相倉と菅沼は、住民が生活している集落です。

20棟と、伝統的建築物12棟のうち9棟。 どちらも歩いて回り切れる大きさです。

だから昼間は、集落の面積に対して人が多い状態になります。

便が切れたあとは逆になります。 灯りのついた家と、雪か山の音しかありません。

1995年12月に世界遺産に登録され、 その前に1994年に重要伝統的建造物群保存地区に選定された集落です。

重伝建は、保存地区を決めるのは市町村で、 国が市町村の申出を受けて選定する仕組みです。 相倉と菅沼は、人が暮らしている集落のまま、その選定を受けています。

それを確かめられるのは、客がいない時間帯です。

2日目の朝に屋根を見る

朝に屋根を見る順番にしてあります。

この谷の養蚕は16世紀以前にさかのぼり、 江戸時代以降は主産業でした。

合掌造りの急勾配の茅葺き屋根は、まず豪雪に耐えるための角度です。

そしてその角度が、屋根裏に多層の小屋組を作ります。

通風と採光に優れたこの空間が、蚕を育てる場所になりました。

つまり屋根は、雪対策と産業を兼ねた一つの仕掛けです。

これは外から屋根の厚みを見ないと分かりません。

人が歩いていない朝のほうが、屋根の面と棟の向きを 正面から見られます。

塩硝と流刑は同じ条件の裏表

谷に泊まっていると、出られない土地だったことが身体で分かります。

ここは塩硝(硝酸カリウム)の産地でした。 火薬を作るのに要る原料です。

1543年の鉄砲伝来以後に生産が急拡大します。 買い上げたのは加賀藩で、毎年大量に引き取っていました。

藩の防備に直結するので、幕府に対しては隠されていました。

同じ地形が、加賀藩の流刑地も作ります。 1690年(元禄3年)、5代藩主綱紀が配所を決定しました。

谷を渡るのは籠渡しでした。 橋ではなく、張った大綱に籠を吊って人を送ります。

閉ざされた土地の記録も残っています。 1837年の天保の飢饉では住民の約4割が餓死し、 1963年の三八豪雪では流刑小屋が倒壊しました。

隠し場所にできる土地は、逃げられない土地でもありました。

塩硝づくりは加賀藩の支配下で300年以上続き、 1871年の廃藩置県で藩の買い上げが終わります。 配所が決まった1690年からあとは、火薬の谷と流刑の谷が重なっていたことになります。

相倉のあとに菅沼へ行く

集落を回る順も決めてあります。 相倉(20棟)→菅沼(9棟)です。

大きいほうを先に見ると、菅沼で谷の狭さが分かります。

菅沼は規模が小さく、川と山にはさまれた面積しかありません。

先に菅沼を見ると、相倉が「大きい集落」に見えて終わります。 順番を変えると、地形の制約が見えなくなります。

菅沼は白川郷寄りなので、 白川郷へ抜ける行程を足すならここが接点になります。

宿の夜に出てくる歌の話

夜に泊まると、この土地の芸能の話が出てきます。

こきりこや麦屋節を含む「五箇山の歌と踊」は、 1973年11月5日に国の選択無形民俗文化財に選ばれています。

曲によって踊られる場所が違います。 白山宮(上梨)でこきりこ祭り、 地主神社(下梨)で五箇山麦屋まつり。 開かれるのはどちらも9月です。

保存にあたるのは一つの団体ではありません。 麦屋節の保存団体は5団体あり、連合会を組んでいます。

五箇山は五つの谷です。 赤尾谷・上梨谷・下梨谷・小谷・利賀谷。

谷が五つあり、保存の担い手は複数ある。 その並びが、この土地の芸能の残り方です。

夕食で出会う堅豆腐

谷の宿の夕食には、五箇山豆腐(堅豆腐)が出ることがあります。

にがりを多く入れ、石の重しで水分を抜いて固めたもので、 荒縄で縛って持ち歩ける堅さです。

縄で縛れる豆腐が必要だった理由は、雪です。

出入りできない谷で、崩れずに運べる食べ物にする。 保存と運搬の条件が、豆腐の堅さを決めたということです。

大豆は山あいで作り、豆腐にするのは雪どけの水です。 材料も水もこの谷のなかで足ります。

利賀の道と城端線

道と鉄道の注意を2つ書きます。

利賀から岐阜県側へ抜ける国道471号の県境区間は、 雪の時期は閉まります。開いているのは夏から秋です。

庄川沿いから利賀へ入る区間にも異常気象時通行規制区間があり、 大雨や大雪の警報が出ると長い時間止まります。

泊まりで利賀方面に入るなら、宿で足止めになる前提で考えてください。 相倉と菅沼だけなら、この区間は通りません。

城端線(高岡〜城端)は、氷見線とともに あいの風とやま鉄道への移管が合意済みです。

県と沿線の高岡・氷見・砺波・南砺、JR西日本、あいの風とやま鉄道の合意で、 2029年をめどに移管されます。

あわせて、車両を新型に置き換える計画も進んでいます。

運営する会社と車両が変わるので、 「JR」前提の古い案内は時限つきです。切符の買い方は都度確かめてください。

帰りに城端で富山干柿を足す

五箇山豆腐(堅豆腐)は宿の夕食で出会うものとして、 持ち帰りは富山干柿にすると荷物が楽です。

産地はいまの南砺市のうち旧福光町と旧城端町、 原料は産地固有の品種三社(さんしゃ)です。 地理的表示(GI)の登録は2020年8月19日です。

登録上の特徴は飴色で砲弾型、ずしりとする大きさと、 強い甘みと歯ごたえです。 箱の大小があるので、配る数で選び分けられます。

城端は世界遺産バスと城端線の接点です。 2日目の帰りに通るので、荷物が増えない帰り道で足せます。

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宿は谷の中に取る

この行程の前提は谷の中に泊まることです。

選べるのは谷のなかの民宿か、平野側の温泉宿です。

平野側は交通の便が良く、城端線や幹線道路から動きやすいです。 ただし日没後の集落にはいられません。

豪雪地なので、冬は身体を温められる風呂があるかが効きます。 宿ごとに設備が違うので、ここは予約の前に確かめてください。

集落の民宿は数が限られます。 雪あかりの日と重なる日程なら、早めに動くほうが確実です。

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服装と持ち物

  • 集落と谷筋を歩きます。歩けるきれいめスニーカーで
  • 谷底と集落のあいだに坂と段差があります。歩き慣れた靴で
  • 周囲は標高1000mを超える山です。朝晩は冷えるので羽織りものを1枚
  • 冬は豪雪地帯です。長靴かスノーブーツと手袋
  • 夜の集落は暗いです。足元を照らせるもの
  • 民宿は荷物を置く場所が広くありません。荷物は小さくまとめて

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