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旅行
九重・やまなみ日帰りモデルコース|高さ173mの吊橋と、6,300年前の湿原
公開: 2026-10-24 | #九重 #やまなみ #日帰り #観光 #九州
九重町は大分県の西部にあります。 面積271.37km2に人口7,960人(2026年9月30日現在)。 耕地が標高350〜1,050mのあいだに段階状に散る、山の町です。
鉄道の玄関口は久大本線の豊後中村駅です。 ただし見どころは標高1,000m前後の高原に散らばります。 移動の軸は道のほうで、それがやまなみハイウェイ(県道別府一の宮線)です。
由布院や別府のように、湯を囲んで歩く町ではありません。 この土地の見どころは、九重火山群という活火山の集まりが一つ残らず作っています。
渡れない日と、停められない日があります
先に条件を置きます。日と天気で見えるものが変わります。
- 九重“夢”大吊橋には入場制限の条件が公式に出ています。 常時風速15m以上の強風、橋の上の人が確認できないほどの濃霧、大雨洪水注意報以上の発令、 大雪注意報の発令、震度4以上の地震(渡橋点検の後に入場可)、頻繁な雷です
- 橋上の人数が800人を超えた場合も制限されます。紅葉期の昼間は、たもとで待つ前提で組みます
- 雨の日は傘を差して渡れません。カッパが必要です(売店でも売っています)
- 積雪・凍結時の革靴歩行も禁止です。歩道はグレーチング構造なので、踵の細い履物も向きません
- 長者原駐車場は約450台ですが、ミヤマキリシマ期(5〜6月)と紅葉期は満車になります。 路上駐車は公式に「絶対におやめください」と書かれています
- 満車時の受け皿のパーク&ライド「つなぐ号」が動くのは、5月〜6月の土日の早朝だけです。 本数も限られるので、運行の有無は町公式で確かめてください
- ミヤマキリシマの見頃は5月下旬〜6月中旬。野焼きの跡にキスミレが咲くのは3月〜4月、 ヒゴタイの瑠璃色は8月〜9月です
1日の流れ
- 09:30
豊後中村駅から車で出る移動
久大本線の玄関口です。長者原・牧ノ戸峠へは九重町コミュニティバス「九重縦断線」も走り、予約は不要です。
- 10:10
九重“夢”大吊橋を渡る移動
長さ390m・高さ173m・橋桁幅1.5m・標高777m。歩行者専用の無補剛吊橋としては日本一です。
- 11:00
震動の滝と九酔渓を見下ろす
震動の滝は日本の滝百選。鳴子川の渓谷沿いの天然林は、九州森林管理局の鳴子沢風景林として保護されています。
- 12:00
飯田高原で昼をとる移動
標高約1,000mの高原です。牛乳に水を一切加えないヨーグルトや、周辺数十か所のソフトクリームが土地のものです。
- 13:00
長者原からタデ原湿原を歩く移動
38haの湿原です。遊歩道Aは約800m・約20分で車椅子利用可、Bは約1,500m・約40分で湿原を一周します。
- 14:30
牧ノ戸峠に立つ移動
やまなみハイウェイの最高所で標高1,330m。くじゅう連山の登山口になっていて、公共駐車場があります。
- 15:30
筋湯で湯に入る移動
八丁原発電所(合計11万kW)と同じ火山の熱で湧いた湯です。
- 17:00
豊後中村駅へ戻る移動
12月1日から2月末日は牧の戸峠〜九重登山口のバスが一部運休します。通行の情報は九重町公式で確かめてください。
- 時刻は目安です。列車やバスのダイヤは改正で変わるため、出発前に各社の時刻表でお確かめください。
歩行者専用の吊橋として日本一、高さ173m
数字から入ります。
九重“夢”大吊橋の公式の諸元は、長さ390m・高さ173m・橋桁幅1.5m・標高777mです。 歩行者専用の無補剛吊橋としては日本一です。 大人(65kg)が約1,800人乗っても耐える設計で、風速65mまで、震度7までの地震に耐えるとされます。
2004年5月に着工し、工期2年半で2006年10月30日に落成式、同日の正午から渡れるようになりました。 土木学会田中賞の資料は、開業後1年間の入場者数が230万人で予想を遥かに上回ったと記録しています。 累計の来場者は2024年8月23日に1,300万人に達しました。
橋桁幅1.5mという数字が効きます。 人がすれ違える以上の幅はありません。 だから橋上800人という上限が付きます。
橋の下の谷を刻んだのも、同じ火山
なぜここに173mの高さが必要だったのか。
橋が架かるのは鳴子川の渓谷(九酔渓)です。 火山が積み上げた台地を川が削ったので、谷が深くなりました。 谷が深ければ、渡すには高い橋になります。
橋から見下ろす位置に震動の滝があります。日本の滝百選です。 落差の数字は公式に見つけられなかったので書きません。見下ろす位置関係だけが確かです。
渓谷沿いの高齢の天然林は、九州森林管理局の鳴子沢風景林として保護されています。 橋の上から見えているのは、滝と、保護林の斜面です。
6,300年前の噴火が川をせき止めて、湿原になった
タデ原湿原は38haあります。
できかたがはっきりしています。 6,300年前の噴火で出た火山灰や岩屑が白水川をせき止め、 火山地形の扇状地の上に湿原が残りました。 山岳地域に形成された中間湿原としては、国内最大級の規模です。
水の出どころも土地の条件です。 ここは飯田高原の標高約1,000mで、年間降水量は2,500mm以上。 周辺の山々から湧き出す泉の水が集まって湿原になっています。
火山が川をせき止め、火山が水を蓄える。 湿原は景色ではなく、噴火の跡です。
登録番号1547、2005年11月8日のラムサール条約湿地
くじゅう坊ガツル・タデ原湿原は、登録番号1547のラムサール条約湿地です。
登録年月日は2005年11月8日、面積91ha、所在は大分県竹田市と九重町。 国際登録基準は1、保護の制度は国立公園特別保護地区および特別地域です。 大分県の資料は、県内で初めてのラムサール登録と記しています。
その国立公園が阿蘇くじゅう国立公園で、指定は1934年。2024年に90周年を迎えました。 九重町でタデ原湿原と坊ガツル湿原が広がるのは田野地区です。
91haのうち、歩いて行けるのはタデ原の38haです。 残りは山の中の坊ガツルです。
毎年3月の野焼きが、草原を草原のままにしている
草原のほうは、人の手で残っています。
野焼きは毎年3月です。 9月ごろに地元の人と訓練されたボランティアが、延焼防止のため湿原を区分けします。 火は両端からつけて、真ん中へ燃えるように調整します。
やめるとどうなるかも、はっきりしています。 成長の早い潅木と木が草原に生えはじめ、この地を森に変えて、植物の多様性が失われます。
もともとは採草地として使うために焼いていました。 刈った草を使う相手、つまり牛がいたからです。 畜産農家が減って草が使われなくなり、いまは地域や企業のボランティアが景観維持と文化継承のために焼いています。 大分県の資料も「放牧が行われなくなったことにより草原が徐々に減少し、 地域住民らの野焼きによってかろうじて保たれている」と書きます。
だから草原と牛は、同じ話です。 豊後牛は九重町公式が一村一品の代表的な特産品に挙げる肉で、 定義は「大分県内で最も長く肥育された黒毛和種の牛肉」。 うち肉質4等級以上が、2018年にリーディングブランドとして発表された「おおいた和牛」です。
同じ火山の熱が、日本最大の地熱発電所になっている
熱の話に移ります。
八丁原発電所は1977年完成の1号機と1990年完成の2号機を合わせて発電出力11万kWで、 日本最大の地熱発電所です。大分県は地熱による発電電力量が日本一とされます。
町内にはもう1つ、大岳発電所があります。 所在は九重町大字湯坪、運転開始は1967年8月、出力1万2,500kW。 九州電力の更新計画は更新後の出力を1万4,500kWとしていますが、 工事が済んだかどうかは確認できなかったので、現在の出力は書きません。
湯と電気は、同じ熱から出ています。 筋湯や湯坪に宿が並ぶ理由も、発電所がここにある理由も、地下の同じ熱です。
道の最高所は標高1,330mの牧ノ戸峠
移動の軸を数字で押さえます。
やまなみハイウェイは県道別府一の宮線です。 日本道路公団が1961年2月に着工して1964年10月に全線開通、 大分県由布市と熊本県阿蘇市のあいだ約52kmを一般有料道路として造りました。 1994年6月に無料開放され、いまは大分・熊本の両県が県道として管理しています。
最高所が標高1,330mの牧ノ戸峠です。 公共駐車場があり、くじゅう連山への登山口として使われています。
その先の山も数字で出ています。 最高峰は中岳の1,791mで、九州本土の最高峰。 主峰の久住山は1,786.5mで、一等三角点があります。 1,700m以上の峰が10座。九重火山群は約15万年前に活動を開始した活火山です。
活火山というのは、過去の話ではありません。 1995年10月11日に硫黄山で噴火が発生し、その後も硫黄山は噴気を出し続けています。 噴火警戒レベルと立入規制の現況は、気象庁の火山ページで確かめてください。
湿原の歩き方は3本あります
起点は長者原ビジターセンターです。散策ルートは3本に分かれます。
- 遊歩道A: 約800m・約20分。車椅子利用可
- 遊歩道B: 約1,500m・約40分。湿原を一周する
- 遊歩道C: 約2,500m・約60分。湿原と森の両方を歩く
木道の両側には転落防止対策があり、車いすやベビーカーも使えるようバリアフリー化が進んでいます。 環境省のタデ原湿原散策コースは、距離2.5km・所要45分で案内されています。
季節で見えるものが変わります。 3月から4月は野焼きの跡の黒い大地にキスミレの黄色、 8月から9月はヒゴタイの瑠璃色の花です(環境省)。
交通と駐車場で行程が決まります
実務です。
- 鉄道の玄関口は久大本線の豊後中村駅。駅から長者原・牧ノ戸峠へは 九重町コミュニティバス「九重縦断線」(牧ノ戸峠〜玖珠町塚脇)で、予約は不要です
- ただし12月1日から2月末日まで、牧の戸峠〜九重登山口が一部運休します。冬は車かタクシーが前提です
- 町内のもう1つの公共交通「ココバス」は予約型乗合で、事前の利用者登録と予約が必要。 平日のみで、土日祝と12月29日〜1月3日は運休します。土日の観光の足にはなりません
- 久大本線は長く止まった実績があります。2020年7月豪雨で2020年7月7日から豊後森〜庄内間が運転見合わせになり、 由布院〜庄内間は2021年2月13日、豊後森〜由布院間は2021年3月1日に再開しました。 豊後中村駅を含む区間が約8か月不通でした
- 長者原駐車場は約450台。硫黄山道路沿いに追加駐車場が開設されていますが未舗装で、 雨天のぬかるみや凹凸に注意とあります
- くじゅうは火山防災の対象地域で、九重町が「くじゅう山系火山防災マップ」を公開しています。 春は野焼きの季節と重なり、林野火災注意報も頻繁に出ます
- 九重町観光協会の旧URL(kokonoe-k.com)はドメイン売却の案内ページになっていて使えません。 休館や通行の最新情報は九重町公式サイト(www.town.kokonoe.oita.jp)で確かめてください
土産は大分の乾し椎茸とかぼす
持ち帰る形になるのは、乾物と調味料です。
九重町公式の特産品には生椎茸が並びます。森林に覆われた町域が、原木の椎茸を支えています。 乾した椎茸は常温で持ち帰れて、戻し汁まで使えます。 肉厚の「どんこ」や、大分県産の原木乾しいたけ100%のものが選べます。
もう1つはかぼすです。 大分の食卓の柑橘で、ぽん酢や果汁の形になっています。 鍋にも焼き物にも使えるので、重さの割に使い道が広いです。
甘いものなら、柚子のジャムがあります。
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泊まると、朝の登山口に立てます
日帰りで確実に落ちるものが1つあります。朝の枠です。
長者原駐車場は約450台で、ミヤマキリシマ期と紅葉期は満車になります。 路上駐車は禁止で、受け皿のつなぐ号が動くのは5月〜6月の土日の早朝だけです。 遠方から日帰りで来ると、この朝の枠に間に合いません。
町の宿は、筋湯・湯坪・宝泉寺といった温泉地と、登山口に近い田野に分かれます。 どれも火山の熱で湧いた湯です。 前泊すれば、夜が明けきる前に登山口へ入れます。

九重・やまなみ
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服装と持ち物
- 湿原の木道と橋を歩きます。歩けるきれいめスニーカーで
- 標高1,000m前後の高原です。町公式も「気候は変化が激しい」と書きます。羽織りものを1枚
- 大吊橋は傘を差して渡れません。雨の予報ならカッパを
- 歩道はグレーチング構造です。踵の細い履物は避けてください
- 牧ノ戸峠は標高1,330mです。風が通るので、風を通さない上着を
