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旅行
掛川日帰りモデルコース|段差が峠と城と茶を作った
公開: 2026-10-24 | #掛川 #小夜の中山 #日帰り #観光 #中部
掛川市は静岡県の西部、牧之原台地の西端に乗った町です。
JR掛川駅は天竜浜名湖鉄道の起点でもあり、駅から掛川城までは徒歩7分です。 城と大日本報徳社と竹の丸は、歩いて続けて回れる距離に並んでいます。
同じ静岡でも、駿河湾を見に行く静岡市や、湖のある浜名湖とは土地の作りが違います。 ここは台地が東海道へ落ちる段差の上と下で、峠と城と茶が1本につながっています。
先に決めておく条件
- 資生堂アートハウスは2026年7月4日に閉館しました。隣の資生堂企業資料館も2025年11月29日に閉館しています。掛川市下俣の2館はどちらも見学できません。古い案内では見どころとして並んでいますが、行き先に数えないでください
- 粟ヶ岳の山頂は、登山道入口から徒歩片道約60分・2.6kmです。往復で2時間を超えるので、この日帰りは登らない前提で組んであります。山頂は泊まりの行程に回しました
- 掛川いも汁は自然薯の料理です。自然薯の収穫が11月から3月なので、ほかの季節には土地の形で出てきません
- 二の丸茶室の「もみじ茶会」は11月3日だけで、予約制です。松ヶ岡の一般公開は第2・第4土曜日です
- 掛川祭は10月9日・10日・11日です。市街が祭りの日は、宿も駐車場も普段どおりには動きません。事任八幡宮の例大祭は毎年9月に3日間あります
- 雨なら掛川花鳥園が残ります。冷暖房の大温室で、国内最大規模7,000平方メートル。ただし休みの日が決まっているので、行く日が当たらないか先に確かめてください
公開や運行の状況は変わります。出発前に確かめてください。
1日の流れ
- 09:30
掛川駅に着く移動
JR掛川駅は天竜浜名湖鉄道の起点でもあります。南口のコンコースに観光案内所「たびスタ」があります。
- 10:00
掛川城の木造天守に上がる移動
駅から徒歩7分です。平成6年(1994年)4月に復元された日本初の本格木造天守閣で、6間×5間・外観3層・内部4階建てです。
- 11:00
掛川城御殿を歩く
安政2年(1855年)から文久元年(1861年)の再建です。7棟・約20部屋の書院造りで、現存する城郭御殿は全国に4ヵ所しかありません。
- 12:00
竹の丸に寄る移動
明治36年(1903年)に葛布問屋の松本家が建てた家です。城の足元にあります。公開の日と時間は確かめてください。
- 13:00
大日本報徳社の大講堂へ移動
大講堂は明治36年(1903年)の建築で、国の重要文化財です。正門の門柱に「道徳門・経済門」と刻まれています。
- 14:30
事任八幡宮に寄る移動
『枕草子』に名前が記された神社です。坂上田村麻呂が植樹したとされる大杉とクスノキが市の天然記念物です。
- 15:30
小夜の中山峠に上がる移動
旧東海道の日坂宿と金谷宿のあいだの難所です。西行法師の歌碑が立ち、夜泣き石はトンネルの脇に据えられています。
- 16:30
東山の茶畑から粟ヶ岳を見上げる移動
粟ヶ岳は標高532mで、山頂まで徒歩片道約60分なので今日は登りません。畝に敷かれた草が、2013年5月に世界農業遺産になった茶草場農法です。
- 時刻は目安です。列車やバスのダイヤは改正で変わるため、出発前に各社の時刻表でお確かめください。
標高532mの高みが、全部の理由になっている
数字から入ります。
掛川の東にある粟ヶ岳は標高532mです。 これが、牧之原台地が東海道へ落ちる段差の最高点です。
段差があるので、旧東海道はここで急な坂を登って降りました。 それが日坂宿と金谷宿のあいだの難所、小夜の中山峠です。
その峠を押さえる位置に城が置かれました。掛川城です。
同じ高みは日照が強く、茶葉が肉厚になります。 肉厚な葉は普通の煎茶の蒸し時間では成分が出ません。 だから蒸し時間を2倍から3倍に伸ばしました。深蒸しです。
そして、その斜面にススキやササを刈って敷く手間が、 2013年5月に世界農業遺産になりました。
峠も城も茶も、1つの段差から出ています。
木造の天守は1994年に建った
掛川城の天守は平成6年(1994年)4月に復元されました。 日本初の本格木造天守閣です。
大きさは6間×5間、約12m×10m。外観3層・内部4階建てです。
元の天守は嘉永7年(安政元年・1854年)の安政の大地震で、 城の大半の建物とともに倒れました。木造での再建は140年ぶりでした。
城そのものは今川氏が家臣の朝比奈氏に命じて築いたもので、 のちに山内一豊が大規模に修築し、天守閣と大手門を建てています。 高知城は掛川城を模して作られたとも伝えられます。
だから、ここで見るのは天守の形よりも中身です。 階段と床と柱が木で、踏むと鳴ります。桜は約130本あります。
御殿は現存4ヵ所のうちの1つ
天守の下に御殿があります。
安政2年(1855年)から文久元年(1861年)にかけて、 城主の太田資功が地震のあとに再建した建物です。 7棟・約20部屋の書院造りで、昭和55年(1980年)1月26日に国の重要文化財になりました。
現存する城郭御殿は全国に4ヵ所しかありません。京都の二条城がその1つです。
ここで気づくことがあります。
地震で天守が倒れたあと、先に建て直されたのは天守ではなく、 政務と住まいのための建物でした。
天守が木造で戻るのは、その140年後です。 城にとって先に必要だったものが、建物の順番に残っています。
蒸し時間を2倍から3倍に伸ばす
深蒸し煎茶は、普通煎茶より蒸し時間を長くとる製法です。 掛川では2倍から3倍まで伸ばします。
理由は葉の厚さです。
台地の高みで日照が強いため、茶葉が肉厚になります。 カテキンが多く、普通の蒸し時間では成分が出てきません。 長く蒸すと成分が出て、濃厚で甘い味になります。
欠点を製法で裏返した形です。
掛川茶は全国茶品評会の産地賞の受賞回数が全国最多で、 最新の第80回で27回目になりました。
掛川市は緑茶の生活習慣病予防研究「掛川スタディ」も行っています。 '08掛川スタディは市の単独事業、'09掛川スタディは農林水産省の委託事業で、 LDLコレステロールの低下やウエストの減少が公表されています。
茶畑の畝に敷かれた枯れ草が、農法です
粟ヶ岳を中心とする日坂・東山地区の茶園は、標高の高い位置にあります。 昼夜の寒暖差が大きいので、同じ掛川でもマイルドな茶になります。
その斜面で行われているのが茶草場農法です。 ススキやササを刈って、茶畑の畝に敷きます。
「静岡の茶草場農法」は平成25年(2013年)5月30日に、 国連食糧農業機関(FAO)から世界農業遺産(GIAHS)に認定されました。 対象は掛川市・菊川市・島田市・牧之原市・川根本町の5市町です。
草を刈る草地には、固有種のカケガワフキバッタが確認されています。
畑を見るときは畝のあいだを見てください。 枯れた草が敷いてあります。手入れが足りない畑ではなく、それが農法です。
小夜の中山は日坂宿と金谷宿のあいだの難所
峠に移ります。
小夜の中山峠は旧東海道の日坂宿と金谷宿のあいだにあり、 急峻な坂が続く街道の難所でした。所在は掛川市佐夜鹿です。
西行法師の歌碑が立つ小夜の中山公園があります。 夜泣き石は、いまはトンネルの脇に据えられています。
峠には子育飴という水飴が残っています。 もち米と大麦を原料にした昔ながらの製法で、峠の2軒が作り続けています。
坂を登る人が息を整える場所だったから、糖のかたまりが売られました。 茶屋の名残が飴の形で残っている、ということです。
事任八幡宮は枕草子に名前が出てくる
峠の西、日坂の手前に事任八幡宮があります。
『枕草子』に名前が記され、 「思いのままに願い事が叶う」神社として信仰されました。
坂上田村麻呂が植樹したとされる大杉とクスノキが、市の天然記念物です。
街道の難所にかかる手前に、願いを言う社がありました。 社の位置は、道の難しさとつり合っています。
明治36年に建った2棟
市街に戻ります。同じ年に建った建物が2つあります。
大日本報徳社の大講堂は明治36年(1903年)の建築で、 平成21年(2009年)6月30日付の官報(号外138号)で重要文化財に告示されました。
敷地には仰徳記念館と、淡山翁記念報徳図書館が並びます。 仰徳記念館は昭和13年に宮内庁から下賜されて移築されたもの、 図書館は昭和2年の鉄筋コンクリート造です。 正門の門柱には「道徳門・経済門」と刻まれています。明治42年の建立です。
報徳社の岡田良一郎は、それ以前に掛川市倉真の自邸で冀北学舎を開いていました。 明治10年から17年のことです。
もう1棟が竹の丸です。 明治36年(1903年)に、江戸時代から続く葛布問屋を営む松本家が建てました。
同じ年に、道徳と経済を1つに説く講堂と、葛布で財を成した商家が建っています。 どちらも城の足元です。公開の日と時間は確かめてください。
交通と駐車場
実務の注意です。
市街だけなら車は要りません。 掛川駅から掛川城までは徒歩7分で、大日本報徳社も竹の丸も二の丸茶室も徒歩圏です。 駅南口のコンコースに観光案内所「たびスタ」があります。
ただし小夜の中山峠・事任八幡宮・東山の茶畑は市街の外です。 横須賀城跡・小笠山・ならここの里も離れています。 城の外に出るなら車のほうが安全です。路線バスの本数は確かめていません。
掛川城に専用駐車場はありません。 大手門駐車場(有料・約200台)か掛川城公園駐車場(有料58台・乗用車のみ)に入れてから歩きます。 東名高速の掛川ICから城までは約10分、大手門駐車場までは約5分です。
天浜線に乗るなら掛川駅が起点です。 掛川から新所原までは67.7kmで、39駅のうち32駅が無人駅です。 乗り通すと半日かかるので、掛川寄りで折り返すほうが1日に収まります。
桜木駅の本屋とプラットホーム、原谷駅の本屋は、どちらも昭和10年(1935年)の建築で、 国の登録有形文化財です。天浜線には36件の登録有形文化財があります。 運行状況は公式サイトに日時つきで出ています。
お土産は深蒸しの茶葉
掛川から持ち帰る形は茶葉です。
深蒸し掛川茶は小分けの袋で売られています。 2袋のセットのように量を分けたものが、配るにも自分で飲むにも扱いやすいです。
同じ深蒸しでも、茶葉の等級で分かれているものがあります。 飲み比べるなら、等級の違うものを並べて選んでください。
年度の表記も見てください。摘んだ年が書かれています。
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泊まると、朝のうちに山頂に立てる
このコースを泊まりにする意味は、粟ヶ岳の山頂です。
登山道入口から山頂まで徒歩片道約60分、2.6kmあります。 往復2時間超を日帰りに差し込むと、徒歩7分の掛川城か天浜線のどちらかが落ちます。
泊まれば、朝のうちに山頂の阿波々神社と台地の眺望を取ってから、 昼を城と大日本報徳社に回せます。
宿は2つの性格に分かれます。 駅の周りには歩いて城へ行けるホテルが集まり、 市街から離れた山あいには温泉の宿があります。
朝7時台に登山道入口へ向かうなら、車のある側が確実です。
※料金は取得時点の最低料金の目安です。プラン・日程により変わります。
服装と持ち物
- 城の階段と峠の坂を歩きます。歩けるきれいめスニーカーで
- 木造天守は外観3層・内部4階です。階段が急なので、手が空く荷物で
- 茶畑の斜面は土と草です。濡れても困らない靴で
- 標高の高い台地に上がると、市街より風が通ります。羽織りものを1枚
- 峠と茶畑は日陰が少ないです。帽子と飲み物を

